Obsidianのファイル名問題は、メモを運営していくうえで非常に悩ましい問題です。今回はファイル名=タイトル形式と固有ID形式、2つのメリットとデメリットを比較していきたいと思います!
Obsidianで使える2つの法則
Obsidianでは、主に2つの方法でファイル名をつけることができます。
- 従来のタイトル名を使う
- ノートに固有IDをつける(UID)
従来のタイトル名は「〇〇について」といったように、中身が一言でわかるようにしたファイル名です。一方の固有IDは、独自の法則に基づいて数字やアルファベットを無機質に並べたIDになります。Obsidianでは日付+時刻の12~14桁の数字を振ることができます。
従来のファイル名が起こす問題
従来のファイル名で名前をつけると、どうしてもファイル名が被ってしまう時があります。
例(という名の実話)
ある時、私はタロットの愚者の意味を調べたくなりました。
- 書籍A
- 書籍B
- 動画C
この時私は各文献ごとに、愚者の意味をまとめたくなりました。「愚者と言うファイル名は1つしか作れませんが、3つ作りたい」そう思う時があったとします。その時あなたはどうしますか?
考えられる解決方法
案1.タイトルを細分化・変化させる
- 愚者の意味(書籍A)
- 愚者の意味_202209192027
- 202209192027_愚者の意味
文献ごとにタイトルを細分化する場合、文献分のタイトルを書く・コピーする作業が発生します。タロット1枚分だけならいいのですが、たくさん書く場合は面倒な事この上ない。大アルカナ22枚× 3文献分のタイトルを修正してく必要があるのです。
今回のケースのように法則性がある被りなら良いのですが、法則性がない場合はその都度タイトル名を考える問題が出てきます。そうやって、無秩序にページを増やしていった結果、混沌とした作業ノートができていくのです。
タイトルに加えて固有IDを足すことで、タイトルかぶりをなくすことができます。この場合は日付が入る分タイトルが長くなりすぎます。そして、固有IDをタイトルの前に書くか、後に確かで判断が必要になります。
また、前半に固有IDを書いた場合、後半のタイトル名が見えなくなる問題が出てきます。リンクの見栄えも悪くなるので、固有IDを追加していく方法はあまりオススメしません。
策2.フォルダーを分ける
同じタイトル名でも、保存するフォルダーが違えば共存をさせることができます。この方法だと、毎回ファイルを整理整頓していく手間が生じてきます。
また、整理するときにどこのフォルダーにしまおうかと判断に困る機会が出てきます。そうこうしていくうちに構造が複雑化し、どこにファイルを置いたか分からなくなってしまい、混沌としたノート置き場ができてしまいます。
策3.分割をせず、1ページにすべてをまとめる
1箇所にまとめると、必要な項目が見つけにくい、混沌なページができあがります。情報のリンクによる情報再利用が難しくなり、せっかくのネットワーク型ノートの利点を生かせなくなります。
結局、どの方法を使っても、いつかは混沌としたノートができあがってしまいます。
Gitとの相性が悪い
Gitで文章の差分を保存・閲覧したい場合、タイトル名だと相性が悪かったりします。git mv
コマンドでファイル名を変更しないと、別のファイル扱いになってしまい、差分を確認することができなくなるのです。
ファイル名=タイトルになっているObsidianの場合、タイトルを変えてしまったせいでファイル名が変わり、差分を追いかけることができなくなります。
OSによるファイル名制限の話
従来のファイル名だと、WindowsやMacintoshなどのOS、Dropboxなどのクラウドサービスによって使えない記号や絵文字が出てくる問題があります。利用するOSやサービスが増えるほど、制限されてしまうことを念頭に入れておきましょう。
固有IDのメリットと課題
固有IDが被らないルールさえ作っておけば、ファイル命名による混沌は起こりません。シンプルなルールなのでタイトル名で判断に迷うこともなければ、ファイル名が被らないので、同じファイル名ができる問題も解決できます。
また、固有IDならファイル名を変えることが滅多にないので、Gitによる差分問題も解決できます。
このように、固有IDならば「ファイル作成時と管理面では」問題は起こりません。それならいつ起きるのか。それは、リンクを貼るときに問題が起きてしまいます。
ファイル作成時は良くても、リンクが面倒
固有IDの欠点、それは「ファイル名で内容が推測できない」ことに尽きます。とくにリンクを貼るときや見返す時なのに混乱が生じてしまいます。リンクを貼る際も固有ID名ででてくるため、その都度参照ページの固有IDを把握し、数字を覚える手間が生じてしまいます。
エイリアス機能で解決できる?
1・2個のリンクならば、Obsidianのエイリアス機能で対応できます。エイリアス名でリンクを表示させてしまえば良いのです。
また、コミュニティープラグイン「Front Matter Title」を利用すれば、エイリアス名でエクスプローラーやヘッダータイトルを疑似的にタイトル表示ができます。検索結果一欄コピーも、プラグインで解決できるので、1回だけならなんとかなります。
エイリアスの罠
エイリアスの場合、ファイル名を変更しないので、リンク先の名前を自動で全部変える機能が使えません。リンクを登録した後に下のページのエイリアスを変更しても、自動で変更されません。
そのため、「エイリアスの情報が古いエイリアス情報のままだった」ということが、多々あります。
プラグイン側が対応していない
上記でも触れた「Front Matter Title」でObsidian本体のファイル名を、指定したフロントマターに表示を変更することができます。しかし、コミュニティープラグインはほぼ対応しておらず、ファイル名が固有IDの表示になっていることが多々あります。(2Hop Links Plusなど、一部のプラグインはフロントマターに対応しています)
結局ファイル名と固有IDどっちがいいの?
最初はファイル名=タイトルで行い、ファイル名運用で不満が出てきたら固有IDに変えることを推奨します。
固有IDはリンク問題さえなければ、従来のファイルよりも破綻が少ないです。そのため、従来のファイル管理で失敗した人や、ScrapBoxなどでリンクを貼りすぎによる弊害を知っている人におすすめしたいです。リンクを貼る作業の手間がかかるため、必然的にリンクを貼る機会が少なくなります。
また、Gitを「差分管理」として使いたい場合も、固有IDを採用してもいいと思います。
まとめ
- タイトル型式は直感的だけど、ファイル名重複問題が発生する
- 固有ID形式はファイル被りがないけど、リンクメンテナンスが大変
- リンク形式のメモアプリに慣れていない人は従来のタイトルで
- 大量リンクの弊害を理解している・Gitで差分管理を行う人は固有ID形式で行う
両方とも一長一短あるので、非常に悩むポイントです。自分の使い方や理想を踏まえつつ、ファイル名を考えてみてください。現場からは以上です。